The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
第二部Ⅵ

sideルアリス

──────…また再び、この地を踏むことになるとは。

飛行機から降り立ち、俺はルティス帝国の空を眺めた。

…憲兵局に支配されていた頃は、箱庭帝国の空は酷くどんよりしているように見えたものだが。

…今は、箱庭帝国の空もルティス帝国の空も、同じ色に見える。

…同じ色に、見えるようになったんだなぁ。

それが嬉しい。

…の、だけれど。

「…はぁ」

「何じゃ、ルアリス。ルティス帝国に着いたばかりだというのに、溜め息なぞ」

思わず溜め息をついたのを、一緒に来ていたミルミルは聞き逃さなかった。

更に、ヴァルタも。

「身構え過ぎなんだよ。疚しいことがある訳じゃないんだから、堂々としてな」

「…そうだけど…」

…でもなぁ。

どうしても、やっぱり身構えてしまう。

だって…あの人の、誘いだぞ?

彼の妖艶な姿を思い出し、俺は思わず身震いした。




< 577 / 791 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop