The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
…それで、俺は今ここにいる。

この、ルティス帝国の地に。

結局ルレイア殿の手紙は何だったのかと言うと、

「俺達暇なので、遊びに来ませんか~?」って誘いだ。

正直俺は国政で忙しく、海外旅行を楽しんでいる暇はない。

ルレイア殿には悪いが。

断りたい気持ちはあった。しかし。

…あの人からの誘いを断るなんて恐ろしいことをしたら、一体どうされるか分かったものじゃない。

報復に怯えるよりは、素直に誘いに従った方が良い。

あのルレイア殿が、わざわざ俺を招待してくれたのだ。

断るだなんて、そんな畏れ多いことが誰に出来るのだ。

しかも俺は、あの手紙を受け取った日の前の晩、例の死神モードのルレイア殿が夢に出てきたのだ。

意識しているのか何なのか知らないが、最早脅迫だ。

朗らかな文面なのに、「まさか断るなんて有り得ませんよね?」と微笑むルレイア殿の姿が見える。

やっと平和な祖国を取り戻したのに、ルレイア殿と対立して箱庭帝国を戦場にする訳にはいかない。

俺一人の犠牲で箱庭帝国の平和を守れるのなら、安いものだ。

その為、俺はミルミルとヴァルタを連れて、ルティス帝国にやって来た。

本当は、ラシュナやユーレイリー、ヴィニアス、それにセトナ様も一緒に来て欲しかった。

しかし、彼女達には俺の留守中の国政を任せなければならなかったので、無理な相談だった。

だから本当は一人で行こうかと思っていたのだが、ヴァルタはルレイア殿を気に入ってるらしく、更にミルミルはフューシャに会いたいとのことで、同行を申し出た。

その為、二人を一緒に連れてきた。

ミルミルはともかく、ヴァルタはルレイア殿の何がそんなに気に入ったと言うのか。

怖い。

俺一人だけがこんなにびびっている。

三日三晩悩み抜いて吟味した手土産を手に、俺は生唾を飲み込んで『青薔薇連合会』の本部に向かった。

あの人のことだ。何の理由もなく、「遊びに来い」とは言わないと思うんだよな。

俺を呼びつけたのは、何か別の理由があるのではないか…そう勘繰ってしまうのも、無理はなかった。
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