The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
戦々恐々としながら、『青薔薇連合会』の本部を訪ねると、

「んん~、ルルシ~。そろそろ俺と結婚しましょうよぅ」

「しねぇから。引っ付くな」

「つーかルレ公、そのコウモリみてぇなマント何?」

「うふ、似合うでしょう?今年のトレンドは黒マントかな~って」

「ルレイア、素敵。格好良い」

「確かに格好良いな。さすがルレイア先輩だ。俺も今度買おう」

「仮面にマントなんか着たら、マジシャンみたいだね」

「…」

『青薔薇連合会』幹部の皆様。

以前と変わりないようで、何よりである。

特にルレイア殿。

…ん?ちょっと待て。一人見たことない人がいる。

…誰だ?あの仮面の人。

ルレイア殿に雰囲気がよく似てるが…まさか第二妻とか?

…怖いから聞かないでおこう。少なくともルレイア殿のファッションセンスを「格好良い」と言うくらいなのだから、多分俺とはあまり仲良くなれないタイプだ。

ところで。

「…あのー…ルレイア殿」

俺は彼に気づいて欲しくて、そっと声をかけた。

しかし。

「ルルシ~…。婚約指輪買いに行きましょうよ。婚約指輪~」

「くっつくんじゃねぇって」

「ルルシ~」

べたべたとルルシー殿にくっつこうとするルレイア殿。

いつも通りで何よりだが、俺を無視して目の前でいちゃつくのはやめて頂けないだろうか。

しかし、ルルシー殿といちゃついてるときのルレイア殿を邪魔すれば、逆ギレされて撃ち殺される可能性がある。

…仕方ない。気づいてもらえるまで黙っておこうか…と思ったら。

「…ん?あなた、ヴァルタさんじゃないですか」

「あぁ、久し振りだな」

まさかの。

まさかの、ルレイア殿は俺より先に…俺と一緒に来ていたヴァルタに気づいた。

何故?

「箱庭帝国にいたんじゃなかったんですか?遊びに来たんですか」

「そうだ、遊びに来た。それから自分の売り込みに。祖国の国政が落ち着いたら、私も『青薔薇連合会』に入れてもらいたいと思ってな」

「へぇ~。良いですよ、勿論。あなたみたいなタイプは好みなので、どうぞウェルカムです」

俺を無視して会話を進めないでもらえないだろうか。

何故ヴァルタは、こんなに普通にルレイア殿と喋れるのか。

俺にはとても無理だ。

しかも『青薔薇連合会』に入りたいなんて。彼女の自由ではあるが、このルレイア殿と一緒に仕事なんて、怖過ぎて俺には出来ない。

などと考えていると。

「…ん?そっちのあなた…何処かで見た顔ですね」

「あっ…ルレイア殿…」

ルレイア殿はようやく、俺の存在に気づいたようだった。
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