The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

sideルルシー

─────…部下が夫婦の性生活の危機に瀕しているとも知らず。

俺はそのとき、ルレイア、ルリシヤ、ルアリス、ヴァルタという異色のメンバーで。

近所の鍋料理のお店に来て、皆でキムチ鍋をつついていた。

…何やってんだって感じだけどな。

「さてルアリス、食事に行きましょう。何食べたいです?」

「えっと…何でも良いですけど、でも俺、」

「じゃあ近所の鍋のお店に行きますか~」

「…」

なんてやり取りをして、この店に強制連行され。

メニューを決めるときも、

「さてルアリス。何鍋にします?」

「…えっと、この白いスープの…」

「じゃあこのキムチ鍋にしましょうか。キムチ鍋五人前で」

「…」

俺は、遠い目をしているルアリスに詫びた。

「済まん、ルアリス…」

「いえ…大丈夫です、慣れてるんで…」

ごめん。ルレイアに慣れさせて本当ごめん。

ルレイア、お前な。ルアリスの意見を尋ねるなら最後まで聞いてやれよ。

とにかくそんな経緯でこの店に連れてこられ、そしてキムチ鍋を食べていた俺達である。

まぁ、美味しいから良いけど。

しかし。

「ねぇルルシー。あーんして食べさせてください。ねぇ~」

「離れろ。きしょい」

ルレイアは相変わらずの猫なで声ですり寄ってくるわ。

「これが七味…こっちがラー油か」

ルリシヤも相変わらず辛いもの好きらしく、ただでさえ赤いスープの中に、辛味調味料をどさどさ突っ込んでいた。

あいつは馬鹿だな。

舌が馬鹿。

アホのルレイアとアホのルリシヤを交互に見て、ルアリスはドン引きの表情であった。

…もうね、本当ごめん。

この状況で平然と食ってるヴァルタが凄い。

まともなのは俺とルアリスだけだな。

なんて考えていると、そこに。

「…ん?」

俺のスマホが鳴り出した。

「誰からのコールですか?ルルシー」

「えーっと…ん?ルヴィア…?」

画面には、ルヴィア、の文字。

言わずもがな、俺の部下である。

「…」

…何だろう。出ない方が良い気がする。

でもなぁ…部下からのヘルプコールに、出ない訳にもいかず。

「ちょっと、済まん」

ルアリス達に断ってから、俺は通話ボタンを押した。

すると、やはり俺の予想通り。

案の定、という奴だった。
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