The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
『うぅ…ルルシーさん…』

「…どうした、ルヴィア」

電話越しのルヴィアの声は、いつぞや「嫁が里帰りしたんです…」って相談してきたときのそれと同じ。

もうこの声だけで、何があったのか大体予想がつく。

どうせまた嫁関連。

むしろそれ以外の用件を相談されたこと自体がそんなにない。

『うちに…嫁の友達が来てるんです…。ミルミルって子…』

「あぁ…」

ミルミルって言ったら…あの、独特の喋り方する子だよな。

ルアリスやヴァルタと一緒に来たんだろうな。

「その子がどうしたんだ?」

『…フューニャとお喋りしてて、俺が入れないんです』

「…」

泣きそうなところ、悪いのだけど。

それ…しょうがないのでは?

だって、友達が来たんだろ?そりゃ友達と喋りたいよ。

すると、俺の横で通話を盗み聞きしていたルレイアが。

「成程、それであなた今、嫁に捨てられてる訳ですね」

『…!』

この馬鹿。馬鹿ルレイア。

また要らんことを。

電話の向こうで、ルヴィアが愕然としている姿が見える。

「落ち着けルヴィア、別に捨てられた訳じゃ」

「無理無理。今頃お宅の嫁、あなたの悪口で盛り上がってるところでしょうよ。『うちの旦那ったらとんでもない下手くそで、しかも役立たずなのよ~』、『あらそうなの?じゃ、もう外注したら?』みたいな」

『…!!』

「ルレイア馬鹿、黙ってろ!」

「いやん」

べしっ、とルレイアをはたく。気色悪い声を出すな。

お前が要らんことを言うせいで、またルヴィアが。

「良いか、全部ルレイアの妄想だ、戯言なんだ。本気にするんじゃ…」

『…ミルミルって子が、うちのフューニャにセクハラするんです』

「…」

…うん。いきなり何の話?

人ん家の嫁へのセクハラ被害を俺に報告されても。

『俺の許可なく胸を触って…俺が役立たずだとか、ぐずっ、フューニャも俺が下手くそだって言ってたんです』

「…」

…そりゃ…何て言うか。

…気の毒だな、ルヴィア。

俺、この場合どう言って慰めれば良いの?

とりあえず、後でルレイアはもう一回ひっぱたいとこう。

「それはお可哀想に~、ルヴィアさん。あなた嫁に捨てられたんですね」

「ばっ…お前」

またルレイアが余計なことを言うものだから、ルヴィアは。

「る、ルヴィア落ち着け。別に捨てられてなんて…」

『…ルルシーさん』

「…何だ?」

『俺、今すぐ公園に行って…段ボールの中に入って、拾ってくれる人を待とうと思います』

「落ち着けルヴィア。正気に戻れ」

子犬じゃないんだから。

本当ルレイアが馬鹿。

もう、頭痛くなってきた。
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