The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
…30分後。

俺達は、帝都の花火大会会場に繰り出していた。

勿論、全員浴衣を着て。

「帝都主催なだけあって、凄い人混みだな」

「ルル公、迷子になるなよ」

「ふざけんな。一番迷子になりそうなのはお前だ」

アイズにしっかり引率してもらわなくては。

すぐどっか行くぞ、こいつ。

「しかし、ルルシー先輩の浴衣は地味だな。あのエロい浴衣の方が良かったと思うんだが」

ルリシヤが、こちらをちらっと見て言った。

うるせぇ。お前達が派手過ぎるだけだ。

見てみろ。道行く人達の視線を。

皆ぎょっとしてこちらを見ている。

こんな人混みの中なのに、皆が道を譲ってくれる。

「それにしても、さっきから皆がこっちを見てるな。やはりルレイア先輩が格好良いからか?」

「ルルシーがイケメンだからでしょう」

「お前達が派手過ぎるからだ」

他にどんな理由がある。この怪奇集団め。

「ねーねーアイ公。アリューシャりんご飴食いたい」

「はいはい、買ってあげようね」

アリューシャはアリューシャで、アイズにねだってりんご飴買ってもらってるし。

自分で買えや。甘え過ぎにもほどがある。

「あと金魚すくいしてぇ!」

金魚すくいだと?

「アリューシャ、金魚飼えるの?」

「無理」

「じゃあ、すくうならスーパーボールにしようね」

「りょ!」

…本当幼稚園児だな。

何が嬉しくて、二十歳も過ぎた良い大人が、ちびっこに紛れてスーパーボールすくわなきゃならんのだ。

もうアリューシャとは別行動で良いんじゃないかと思っていると。

ルレイアが、うきうきと言った。

「良いですねぇ、スーパーボールすくい。俺達もやりましょうよ」

は?おいお前。

良い歳して何言ってんだ、と言おうとしたら、ルリシヤが。

「言っておくけど、俺はそこそこ上手いぞ」

「わ、私はやったことないけど…でも頑張るわ」

「…」

何でこの幹部組、スーパーボールすくいにやる気満々なの?

花火大会だからって童心に帰るな。

「よしすくうぜ!目標100個!」

「100個は無理じゃないかな」

アリューシャは早速ポイを握り締め、どぽん、と水槽にダイブさせた。

あぁ、お前。そんな勢いで水に入れたら。

「ぬぁぁーっ!」

案の定、一つもすくえず穴が開く。

馬鹿だな。本当に。

「アイ公~…」

「はいはい、私がすくってあげるから」

半泣きのアリューシャの為に、アイズは自分でスーパーボールをすくっていた。

こいつ、そこそこ上手いぞ。

しかも。

「大丈夫だアリューシャ先輩。俺もすくうから」

ルリシヤは、アイズより更に上手かった。

物凄いスピードでスーパーボールをすくっていた。

あいつ、何であんなに上手いの?

「上手いですねぇ、ルリシヤ」

「あぁ。『セント・ニュクス』にいた頃、年下の子に誘われて練習した」

ルリシヤも、大概多才だよな。

変な方向で多才。

結局、アイズが12個、ルリシヤが23個をすくい、全部アリューシャにあげていた。

アリューシャはスーパーボールをもらって嬉しそうだったが、あれどうするんだよ。

本部の廊下で転がして遊んでたら、アシュトーリアさんに頼んで幹部解任してもらうからな。

そして、ルレイアとシュノは。

「俺はまぁ、そこそこですかね」

ルレイアは10個ほど。

で、シュノは。

「…私、3つしか取れなかった…」

なかなか上手く行かなかったようだ。

それも仕方ない。ルリシヤが変態なんだよ。

ちなみにルレイアとシュノがすくったスーパーボールも、アリューシャに譲渡された。

「わーい!一杯もらった~」

「良かったね、アリューシャ」

「…」

良い大人がスーパーボールで喜ぶな。馬鹿アリューシャ。
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