The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「大体お前らな、状況分かってるか?」

「何のですか」

「今だよ!『セント・ニュクス』との!抗争の!真っ最中なんだぞ!それを分かってるのか」

そ~んな、スタッカートつけて言わなくても。

「分かってますけど~…」

「今やることないしね」

「無視してる最中だものね」

「遊べるときに遊んでおくべきだろう」

「そうそう。息抜きも大事だよな」

激おこルルシーのこめかみに、ぴきっ、と血管が浮き出た。

あ、怒ってる。

「お前らは息抜きが多過ぎだ。この間花火大会行ったばかりだろうが」

「あれは息抜きと言うより…ねぇ、アリューシャ」

「そうそう。あれはアリューシャ達の…日常でね?」

「日常言うな」

そんな日常があってたまるか、とルルシーはぷんすかしていた。

いや、このプールも…俺達の日常だよ。

やっぱり日常が一番じゃないか?抗争なんて楽しくもないし。

どうせ無視してるんだから、徹底的に無視してやれば良いのだ。

構うからつけあがる。無視に限る。

お宅らにはな~んも興味もありませんよ、ってことを見せつける為にも、プールは大事。

とにかく俺は、水着が着たい。

そしてルルシーの水着を見たい。

大事なことだよ、これは。

「それにな、ルルシー先輩。この件に関しては、アシュトーリアさんにも話してきた」

「…何て言われたんだ」

「『良いわねぇ。私も予定さえなければ、皆とプールに遊びに行ったのに…』とのことだ」

「…」

アシュトーリアさんは本当、上司の鑑だな。

あんな良い上司はいないぞ。俺を除いては。

「ほらほら、アシュトーリアさんも公認ですよ」

「ったく…お前らには、危機感ってものがなさ過ぎる」

「いつまた抗争が起きるか、びくびくしながら過ごすよりはずっと良いよ。どっしり構えていようよ、ルルシー」

「アイズ…」

アイズは朗らかに言った。さすが『青薔薇連合会』の次期首領。器がでかい。

その通り。どっしり構えていれば良いのだ。

そんな訳だからプール行こう。

「あ、そうだ。ルルシー、お弁当お願いしますね」

「はぁ…!?」

プール施設にも食べるところはあるみたいだけど、やっぱりルルシーのご飯が食べたい。

「心配するな、ルルシー先輩。俺も作るから」

頼もしいルリシヤ。

「ちょっと待て。そんな心配はしてない」

「私、ポテトサラダとフライドポテト作るわ。任せてルルシー」

「ちょ、シュノ。お前何意気込んで」

「ルル公、唐揚げ宜しく」

「私はだし巻き食べたいな」

「俺はルルシーご飯だったら何でも良いですよ」

何でも美味しいからね。

「…はぁ…」

ルルシーは深々と溜め息をついた。

何だかんだ言いつつも、いつも作ってくれるんだもんな。

ルルシー大好き。
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