The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
第二部Ⅶ

sideグリーシュ

──────…最初は、純粋な友情だった。

気の合う相手だった。親友だと思っていた。

対等な、相棒だと。

あいつとなら何でも出来る。どんなことでも。何処にでも行けると。

俺達は、二人で一人なのだと。

『セント・ニュクス』は、俺達二人のものなのだと。

そう信じていた。あいつと一緒に並んで、俺は天下を取る。

出来ると思っていた。

あいつは凄い奴だった。賢くて、頭の回転が早くて、仲間思いで部下からも慕われていて、そして強かった。

どんなに凶悪なマフィアを前にしても、ちっとも臆することなく薙ぎ倒していくあいつを見て、俺は誇らしかった。

あんな凄い奴が、俺の相棒なんだと思うと。

俺は、自分まで凄い人間だと思い込んでいた。

でも、ある日。

気がついてしまったのだ。

ルニキスは強い。賢い。優しいし、格好良い。

で、俺は?



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