The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

sideルレイア

───────…『セント・ニュクス』でそんな不穏な動きがあることなど、露ほども知らない俺達は。

相変わらず、夏を堪能していた。

「はぁ~、美味しい。やっぱり夏はアイスですよねぇ、ルルシー」

「…そうだな」

俺達幹部組は、六本入りの棒つき箱アイスを食べながら戯れていた。

俺が折角ルルシーに話しかけたのに、ルルシーはすっ…と目を逸らしていた。

何で。

「ねぇルルシー。こっち見てくださいよぅ。何であっち見るんですか?」

「…」

…あれ?よく見たら。

ルルシーだけじゃない。アイズとアリューシャまで、そっぽ向いてアイス舐めてる。

ルリシヤとシュノさんだけが普通。

「何で俺を無視するんですか~。ルルシ~…」

「…別に無視したくてしてるんじゃない」

えっ。じゃあ何。もしかして。

「ルルシーったら、放置プレイですね。俺は放置プレイするのは大好きですけど、されるのは嫌いなんですよ」

「誰が放置プレイだ」

「良いですよ。そっちがその気なら俺だってやりますから。今度ルルシーん家とアリューシャん家に夜這いしに行って、思う存分放置プレイしてあげますから。俺とやったら二度と俺なしでは生きていけないって評判なので、そのつもりで」

「はぁぁぁ!?何でアリューシャまで!アリューシャ関係ねぇ!アイ公、泊めて!」

「ちょっと落ち着け、ルレイア。別に放置プレイじゃない」

放置プレイじゃない、だって?

「じゃあ何で俺を無視するんですかぁ。ルリシヤとシュノさんは無視しませんよ?」

それなのに、ルルシーもアリューシャもアイズも、俺を視界から外して。

放置プレイじゃないなら、いじめだ。

俺はいじめ反対派だぞ。ベッドの上でのいじめは賛成派だが。

「何でと言われても…ねぇ」

「見たらテロなんだから仕方ねぇだろ」

「は?テロ?」

何だよテロって。テロしてんのは『セント・ニュクス』だろ。

「良いか、ルレイア…。お前のアイスの食べ方はエロい。だから皆目を逸らしてるんだ。分かったか?」

ルルシーの目は、何処までも本気だった。

「…」

…俺がエロいのは否定しないが。

アイスの食べ方がエロいって何?

「何がエロいんですか。普通に食べてるだけでしょ?」

俺は棒アイスをぺろっ、と舐めた。

「ほらそれ!それがエロいんだよ」

「舐めてるだけじゃないですか」

「舐めんな!齧れ!」

「は…?」

アイスって舐めるものだろ。齧るものではない。

俺は舌にたっぷりと唾液を含ませ、優しく愛撫するようにぺろり、とアイスを舐めた。

溶けかけたアイスが溢れないように、舌ですくいとるように舐め、唇を当ててちゅっ、と吸う。

これぞ健全なアイスの食べ方。何の問題が?

「うぉぉぉっ、ぞわってした。アリューシャぞわってした」

「アリューシャ、しっ。見ちゃいけません」

「しかも、狙ってんのか知らねぇがいちご味だぜあれ。何でわざわざピンクを選ぶ訳?メロン味とか選べよ」

「仕方ないよ。彼はルレイアだからね。死神になってないだけましだよ」

ちょっと。アリューシャとアイズが酷い。

「別にエロくなんてないですよ。ね~シュノさん、ルリシヤ」

「うん。ルレイア、アイスの食べ方も素敵…」

「あぁ。別に普通だと思うぞ」

「…」

ほらほら。二人共こう言ってる。

ルルシー達がちょっと過敏過ぎるんだよ。

俺は悪くない。

そうだというのに、ルルシーもアリューシャもアイズも、皆俺から目を逸らしてアイス食べるんだから。

失礼しちゃいますよね、全く。
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