The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「良いか、落ち着け。落ち着いて話してくれ。一体、何があった?」

「ルニキスさん、グリーシュさんはもう…。あの人はもう駄目です。ここにいたら皆殺されるんです!早く逃げてっ…。逃げてくださいっ…」

少年は半ばパニックであった。

この様子だと…どうやら。

「あなた、逃げてきたんですね?自分の組織から」

「…それは…」

見知った顔のルリシヤ相手だと、どうにも興奮して話がしにくいようなので。

ここは大人な俺が対応してやろう。

「良いですか?あなたの生殺与奪は我々が握っている。あなた方を殺さないでいてあげます。だから深呼吸して、冷静に、必要最低限の言葉で質問に答えてください。あなたのルニキスさんを助けたいならね」

「ルレイア先輩!」

「大丈夫です。そうでもしなきゃ彼、興奮して舌でも噛みかねませんよ」

ルリシヤは一瞬何か言いたそうな顔をしたが、大人しく引き下がった。

とりあえずは、この逃亡犯君を落ち着かせることだ。

そうしなきゃ話が進まない。

「さて話しましょう。あなたは『セント・ニュクス』から逃げてきたんですね?グリーシュさんとやらのもとから」

「…はい」

やはりそうか。

ま、そうでなきゃ血塗れで逃げてはこないよな。

「その傷は、逃げるときに追っ手に襲われたんですか」

「はい…。グリーシュさんがすぐに追っ手を差し向けて…。四人、死にました」

「!」

ルリシヤは身体を硬直させていた。

あのグリーシュとやら、随分乱暴なことをする。

自分の組織から逃げるのは許さない、ってことか。

「ということは…十人で逃げた訳ですか」

ここにいるのは六人。で、殺されたのが四人。

「…そうです」

「で?俺達に『逃げろ』と言ったのは何故です?俺達は何から逃げるんです」

「グリーシュさんは…グリーシュさんは、『MY-3』を使うつもりなんです」

「…」

『MY-3』が何なのかは、知らないけど。

少年君の、この青ざめた顔と震えた声で、何となく察しがつく。

相当、不味いものらしいな。
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