The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
だが、殴ったところで何も解決なんかしない。

「すぐに食い止めるんだ。貯蔵してある化学兵器を持ってこい!あれさえ使えば『青薔薇連合会』だって…」

「そ、それが…その、化学兵器を造っている工場と、連絡が取れなくなってて」

「は…!?」

「もしかしたら…工場も攻撃されているのかも…。あるいは向こうの仲間が裏切ったか…」

「…っ、くそっ!」

何でこんなことに。何でこんなことに!

化学兵器が使えないんじゃ、俺達に勝ち目なんかない。

とにかく、今すぐに逃げなくては。

「お前達、俺が逃げるまで時間を稼げ。良いな?」

「え…!?」

「何だよ?」

「た、戦うんじゃないんですか?既に部下達が戦ってます。指揮を…」

「俺が死んだら『セント・ニュクス』は終わりだろうが。俺だけは逃げなきゃいけないんだよ」

「…!」

当たり前のことを聞くな、馬鹿が。

俺は『セント・ニュクス』のリーダーなのだ。リーダーがいなくなったら、組織はおしまいだ。

「戦うのは『愛国清上会』に任せれば良い。フライデルはどうした?」

「…それが…姿が見えなくて…連絡もつかず…」

「…くそが。何処に行ったんだあいつは!すぐに探せ!」

「は、はい」

どいつもこいつも、使えない奴ばかり。

とにかく、俺は逃げるぞ。俺が死ぬ訳にはいかないんだから。

くるりと踵を返し、俺は武器を手に部屋を飛び出した。
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