The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
…何で、こんなことになってしまったのか。

俺の頭の中はそれだけだった。

全部上手く行くはずだったのに。

ルリシヤを裏切って、『愛国清上会』を味方につければ、全部上手く行くと思っていたのに。

化学兵器を使えば、皆黙らせられるはずだったのに!

それなのに、何でこんなことになってしまったんだ?

こんなとき…こんなとき、ルリシヤがいれば。

そう思わずにはいられなかった。『愛国清上会』援助がない今、俺に残された使えない部下だけ。

頼れない部下が百人いるより、頼れる有能な相棒が一人いた方が、余程頼りになる。

そのことに、俺は今初めて気がついた。

そして気がついたときには、もう全てが遅い。

いや、いや、まだだ。

まだ終わってない。俺はまだ死んでないのだから。

俺だけでも逃げ延びるのだ。『セント・ニュクス』が壊滅しても、リーダーである俺が生きていれば、『セント・ニュクス』を再建することは出来る。

まだ負けてない。

俺は、まだ…まだ負けてないのだ。

負けて、

「…ひっ!?」

目の前に現れた黒い影に、俺は足を止めた。




「何処に行くんですか?部下を見捨てて」




現れたのは、血の滴る剣を両手に持った、黒い死神だった。





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