The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
『良い?アリューシャ。工場の倉庫の中に『MY-3』が貯蔵されてるそうなんだけど、そこのロックって、事前に登録された指紋認証とカードキーがないと開かないらしいんだよ』

ふむふむ?

『MY-3』ってのが、あれだろ?ヤバい兵器なんだろ?

『指紋認証してるのは『愛国清上会』の研究員だけらしくて、投降した『セント・ニュクス』の構成員じゃ開けられない。だからいっそ、アリューシャに狙撃して壊して欲しいんだよ』

「…ドアごと爆破するんじゃ駄目なの?」

ドアに爆弾くっつけてさ。どかーんって。

それで開くんじゃね?

『それがねぇ、中に『MY-3』があるって言うから、下手に爆破出来なくて』

「あー…」

なるへそ。

うっかり化学兵器ごとちゅどーん、なんてことになったら洒落にならんもんな。

それでアリューシャに狙撃しろと。

『だからアリューシャがお願い。ポイント送るからね。これ当てたら、アリューシャがMVPだよ』

「…」

…とっても嫌な予感。

案の定、アイ公から送られてきたターゲットの位置は、とてつもなくえぐいところにあった。

これ撃ち抜けってか。つれぇ。

「アイ公。これアリューシャきつい」

出来れば勘弁して欲しいところである。

すると。

『良いよ、外しても。私は怒らないからね』

「…ちなみに外すとどうなんの?」

『どうもならないよ。ただ今度から、私の部屋にアリューシャが遊びに来たとき用に置いてあるお菓子を、おしゃぶり昆布と、寒天ゼリーと、ハッカ飴に替えておく』

全部アリューシャの嫌いな奴じゃん。

やべぇ。外せねぇ。

アイ公、お前あれだな。普段優しいのに、こういうときだけドSだな。

「そんなお菓子やだぁ…」

『じゃ、当ててね。当ててくれたらアリューシャ用に、ドーナツとマカロン用意してあげる』

「よし、当てるか」

こうなったら当てるぜ。もう当てるしかない。

ドーナツとマカロンの為にな。

よし、ワッフルもつけてもらおう。

アイ公は優しいから、つけてくれるはずだ。

無事に当てれば、の話だがな。

しかしそこはスナイパーアリューシャ。意地を見せてやる。

アリューシャの美味しいお菓子生活の為にも、何としても当てるぜ。
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