The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「んしょっ…と」

アリューシャは狙撃ポイントを移動し、愛用のライフルを構えた。

いつもの…シュスリーのお下がりライフルである。

お下がりっつっても、もうアリューシャが使い込み過ぎて、アリューシャ汁が染み込んでるから。

もう実質、これはアリューシャのものだよな。

取りに来ないのが悪い。

不思議とこのライフル、壊れないんだよなぁ。

一体どうなったんだろ。どうなってても良いけど。

使えるんなら何でも良いよ。一応思い出あるし。

「さて…ふぃ~…っと」

スコープを覗き込み、アイ公に指定されたターゲットを確認する。

倉庫の電子ロック…あ、あれか。

アイ公マジドSだな。あんなの撃てってか。

アリューシャじゃなかったら、泣いて逃げ出すレベルだぞ。あれ。

でもアリューシャは、狙撃のプロなので。

ってかそれだけが取り柄なので。

やってやろうじゃないか。アリューシャの腕の見せ所って奴。

アイ公のおやつが美味しくないのになったら困るし。

頑張るぜアリューシャ。

あ、でも張り切り過ぎて弾が貫通しちゃって、中にある化学兵器まで撃ち抜いちゃったらどうしよう。

そのときはまぁ…あれだ。

泣く。

とにかく今は、お仕事に集中しよう。

「…」

神経を研ぎ澄まし、狙いを定める。

今までも今回も、何でアイ公はここぞってときにアリューシャを頼ると思う?

ここぞってときに、アリューシャは外さないって信じてくれてるからだ。

なら、アリューシャはその期待に応える。
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