The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
しかし、ルレイア殿は俺の予想の斜め上を行っていた。

『…うふふー。こんにちは~ルアリスさん♪元気でした~?』

思わず、背筋がぞわっとした。

ルレイア殿は、嫌みを言うでもなく、怒鳴り付けるでもなく。

猫なで声で、俺に挨拶してきた。

ぶわっ、と冷や汗が出た。これは…これは不味い。

土下座で済めば良いと思っていたが、これはもう土下座では済まないかもしれない。

笑ってはいる。顔は笑ってるけど、目は笑ってない奴だ。

「は、はい。お、お陰様で…。その、ルレイア殿もお元気で、」

『ところでルアリス。一つ確認したいことがあるんですけど、良いですよね?』

「…はい」

俺からの挨拶は、勿論無視。

確認したいことって何だ。

『…俺とあなたは、お友達ですよね?』

「えっ?」

『とーっても仲良しな、お友達ですよねぇ?何せ生き死にを共にしたんですもんね?』

「そ…そう…ですね?」

…ルレイア殿と友人、というのは非常に名誉なことであると思う。

あの人には友人よりも、奴隷の方が遥かに多いだろうから。

でも…何だろう。

あの人の友人の定義は、俺の友人の定義とは似て非なるものなのではないかと思った。

『そうですよね。お友達ですよね』

「はい…」

『お友達だったら…俺のお願い、聞いてくれますよね?』

「…可能な限りは…」

『じゃ…お願いがあるんですけど』

わざわざこんな前置きをしてくるんだから、相当の難題だろうと思っていたが。

案の定、とんでもないお願いであった。
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