The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「早くしないと枯れますよ。さっさと製造したらどうですか?」

『せ、製造って…。結婚式が先でしょう…。いや、それよりまず…そういうのは両者の合意の上で…』

何もじもじしてんだキモい。

「合意?そんなの後で良いじゃないですか。とりあえず製造しないと」

「馬鹿。普通は合意を先にするんだよ」

ルルシーに頭はたかれた。

さっきからルルシー、ぺしぺしぺしぺしと。

「よし分かった。じゃ、来年の春に結婚式しましょう」

『は?え?』

「その頃にはお宅の国も落ち着いてるでしょうからね。俺スピーチするんで、ちゃんと招待してくださいね。招待されなくても行きますけど」

「…招待されてないなら行くなよ」

ルルシーはぽそっと呟いていたが。

俺は行くぞ。ルアリスは俺が育てたと言っても過言じゃないからな。

大恩人の俺が結婚式に駆けつけるのは当然のことだ。

『ちょ、ちょっと待ってくださいルレイア殿』

「あ、ウェディングドレスは黒が良いと思いますよ。黒!やっぱりお祝い事は黒ですよね~」

『いや、普通は白…。いや、待ってください。来年の春に結婚式なんて、そんな』

「じゃ、俺楽しみにしてるので、そういうことで。美味しいもの一杯用意しててくださいね。まさか約束破ったりはしませんよね?俺達とーっても仲良しな『お友達』ですもんね…?」

『…』

無言は肯定ということで。

「それじゃさようなら~。来年の春をお楽しみに」

『あっ、ルレイア殿、まっ…』

ぶちっ、と通話を切る。

よし。これで良い。

「来年の春が楽しみですねぇ、ルルシー。俺、お洒落して行こうっと」

「…お前の結婚式じゃないんだぞ?それに…強引に結婚式なんて決めて…お前と来たら」

「しょうがないじゃないですか。こうでもしないとあいつ、一生童貞ですよ」

親心だよこれも。親心。

あの二人、お互い奥手だから、俺みたいなキューピッドが後押ししてあげないとなかなかくっつきやしない。

強引なくらいが良いのだ。いずれ俺に感謝する日が来ることだろう。

「で、ルルシー。俺達の結婚式はいつにします?何なら明日でも…」

「さて、仕事に戻るか」

「ルルシ~っ!」

「引っ付くなって」

俺達も早く結婚式したいのに。俺にも早く。早くキューピッドを。

誰かキューピッドになってくれ。

「俺もルルシーと結婚したいですよぅ」

「俺は嫌だ。良いから離れろ」

「嫌だなんて酷い!俺と結婚してくれるって言ったじゃないですか!ちゅーもえっちもしてくれるって言ったじゃないですか!」

「はぁ!?いつ言ったんだ俺がそんなこと」

「言いました~!俺がルリシヤに撃たれて寝てたときに言いました~!」

何なら録音してるんだからな。エリュシアに録らせたんだから。

こっちには証拠があるんだ。

それなのにルルシーがいつまでも結婚してくれないなんて、こんなのおかしい。

「あれは…!お前が狸寝入りしてたんだから、無効だ!」

挙げ句、こんなことを言い出した。

無効だと?

「ルルシー!あなた無責任ですよ!自分の言ったことには責任を持ちましょうって、帝国騎士官学校で習ったでしょ!」

「ぐ、ぬ…!で、でも結婚は却下だ」

「じゃあ、ちゅーとえっちを!」

「それも却下だ!」

酷い!何もかも却下じゃないか。

「ルルシーの嘘つき~!こうなったら夜這いして製造して既成事実作ってやる!」

「やめろ。あと男同士じゃ製造は出来ない」

ちっ、気づいたか。

「ルルシ~…」

「ったく…。分かったよ、今日何でも好きなもの作ってやるから。カラオケにも付き合ってやるから。それで機嫌直してくれ」

「え、本当?」

やった。じゃ、機嫌直そーっと。

ちゅーとえっちに比べたら弱いけど、まぁ良いや。
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