The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

sideアドルファス

─────…その頃。帝国騎士団では。

週一の帝国騎士団体調会議が始まる、15分ほど前。

少し早めに会議室に来ると、オルタンスが真剣な眼差しで携帯を見つめていた。

「…」

激しく嫌な予感がするから、敢えて何も聞かずに無視しておこう。

すると。

「あっ…」

俺と同じく、ちょっと早めに来た六番隊のリーヴァが…会議室に入るなり、オルタンスの姿を見て何かを察していた。

そして、彼もまた敢えて何も聞かない。

見なかった振りをして、さっさと席についてよそ見をしていた。

賢明な判断だぞリーヴァ。

とにかくオルタンスは無視だ。無視に限る。

このまま俺とリーヴァの二人だけだったら、何も起きなかっただろうが。

ほとんど時を同じくして、五番隊の石頭、アストラエアと。

いまいち頼りない四番隊、ルレイアの後釜であるルーシッドがやって来た。

…こうなってくるともう、俺の力ではどうにもならない。

「…?」

ルーシッドは、真剣な眼差しで携帯を見つめるオルタンスを怪訝そうに眺めていた。

何見てるんだろう…とか思ってんだろうな。

聞くなよ。聞いたらお前…後で余分に仕事回してやるからな。

アストラエアは、オルタンスの様子がおかしくても完全に無視。俺は知らん、とばかりに憮然として席についた。

「…」

先輩達の空気を何となく読んだのだろう。ルーシッドは口をつぐんで、オルタンスから目を逸らしていた。

よし、それで良い。成長したなお前。

このまま会議が始まるまで、全員でオルタンスをスルーしていれば…何も起きずに済む。

と、思っていたが。

不意にオルタンスは、携帯を見つめながら、ふふっ、と微笑んだ。

これには、最早俺も無視出来なかった。

「何笑ってんだてめぇ、気色悪い」

あまりの気持ち悪さに、腸が捩れるかと思った。
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