The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

sideアドルファス

─────…その日は、帝国騎士団毎週恒例、隊長会議の日だった。

会議そのものは、つつがなく終わり。

『セント・ニュクス』の化学兵器問題も何とか収まり、俺達はようやく息がつけるようになった。

正直なところ、俺も少々油断していた。

そして、その油断が仇になった。

「…悪いんだが、アドルファスとリーヴァ、それからルーシッド…あぁ、それとルシェも、少し残ってくれないか」

オルタンスがそんなことを言い出し、俺は不穏なものを感じた。

…何だと?

何?その濃い面子。

「…何の用だよ」

会議終わっただろ。帰ろうと思ってたのに。

無視して帰って良いかな。俺だって暇じゃないのだ。

「実は、相談があってな」

「…」

帝国騎士団長が、部下に対して相談を持ちかけるなんて。

一体何事かと思われるかもしれないが、俺はもう知っている。

こいつが、俺達にまともな相談してきたことが一度でもあったか?

見てみろ。最初の頃は真面目に聞いていたルーシッドも、「あぁ、またか…」みたいな顔になってる。

上司からのくだらねぇ相談なんて、給料のうちに入ってねぇよ。

「今日は…一体どうしたんですか?オルタンス殿…」

リーヴァも、話を聞く前から既にちょっとうんざりした様子だった。

大体予想はついてるが、今回こそはまともな…。

「実はもうすぐ、ルレイアの誕生日なんだそうだ。プレゼントを送ろうと思うんだが、何が良いだろうか?」

こいつ、本格的に帝国騎士団やめて『青薔薇連合会』に入った方が良いんじゃね?

ルレイアは嫌がるかもしれないけど。もうその方が良いと思うぞ。

お前はいつからルレイア大好きになったんだよ。ってか好きなら裏切るな。

「…」

リーヴァもルーシッドも、「そんなことだろうと思った…」とばかりに無言で目を逸らしていた。

「ルレイアは何をあげたら喜んでくれると思う?」

「…知らねぇよ…」

何で俺が、あいつの誕生日プレゼント選んでやらなきゃならんのだ。
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