The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
『青薔薇連合会』本部ビルは毎年、この日になると。

玄関ホールが、非常に騒がしく…そして慌ただしくなる。

というのも。

…無限に、宅配便が来るからだ。






「やぁ皆さん。おはようございます」

その日、俺はいつもより少し遅く、『青薔薇連合会』本部ビルに出勤した。

今日のファッションは、いつもより気合いを入れてきた。

全身黒は言うまでもないが、おニューの黒い髪飾りと、黒ダイヤの指輪を嵌めてきた。

香水はいつもよりきつめに、フェロモンも増し増しである。

朝から美容院とネイルサロンに行って、髪と爪を整えてきた。

お陰でちょっと遅くなってしまったが、結果はこの通り。

俺の姿を見た部下達は、くらり、と目眩を起こしていた。

うふふ。今日のルレイアは特別だ。

死神ルレイアならぬ、小悪魔ルレイアだ。

誕生日限定、フェロモン増しルレイアをご堪能あれ。

そして。

「今年も届いてますねぇ。どんな感じです?」

俺は散らかったエントランスを眺めながら、部下の一人に尋ねた。

『青薔薇連合会』のエントランスホールは、ベルガモット王家の宮殿のエントランスと変わらないほど広大であるが、今日はそのエントランスが、足の踏み場もないほど無数の荷物で埋め尽くされていた。

「は、はい…。朝一番からトラックが三台到着して…。そこからひっきりなしに荷物が届いてて。我々も大変ですが、届けてくれた宅配の方もやつれて、あっ」

そうこう言ってるうちに、また本部ビルの前に宅配便のトラックが停まった。

部下の、この絶望に満ちた表情。

…あーあ。こりゃ今日は一日この調子だな。

「ご苦労様ですね、皆さん。気に入ったのあったら持って帰って良いですよ」

部下達をそう労って、俺は自分の執務室に向かった。

「ありがとうございます。…あっ、ルレイアさん。お誕生日、おめでとうございます!」

「おめでとうございます!」

部下達は腰を90度に折って、唱和した。

うふふ。快感。

「どうもありがとうございます」

この荷物、ぜーんぶ俺への誕生日プレゼント。

俺のハーレム会員からの、貢ぎ物である。

ま、本部に届く貢ぎ物は、本部の住所しか教えていない中級以下のハーレム会員からの貢ぎ物なので、大抵要らないものが多い。

だから、売るか捨てるか、あるいはこうして部下に譲ってる。

毎年の恒例行事である。

上級以上のハーレム会員は、俺の自宅の住所や、本部ビルでも俺の執務室宛に送るように言ってある。

送られてくるプレゼントは多種多様で、アクセサリーやブランドもののバッグ、腕時計は定番だが。

中には最新型のノートパソコンや、ウン百万くらいする高級ワインを貢がれることもしばしば。

去年なんか、数億もするクルーザーを送られた。

さすがに要らない。

別荘をプレゼントされることもしばしばあるが、これも要らないんだよな。

俺が欲しいのは、ルルシーとのあま~いスイートホームだけだから。

今年の上級会員は、何を送ってくれてるのだろう。

俺は鼻唄混じりに、自分の執務室に向かった。
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