The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
それに。

「世界有数の先進国として、最小限の国際協力はするべきだろう。我々が断った挙げ句、もし革命軍が負けたとしたら…世論からどれだけ非難されるか分からないぞ」

箱庭帝国は、世界の目から見ても問題視されている。

その国の国民が、ようやく解放しようと立ち上がっているのに…ルティス帝国が支援しなかった為に、革命が失敗した。

そんなことが世論に知れたら、帝国騎士団がどれほど非難されることか。

諸外国からの風当たりは、今よりずっと強くなるだろう。

諸外国だけではない。国内からも非難を受けるはずだ。

「少し前の…ルレイア殿の件で、それでなくても帝国騎士団は非難に晒されている。これでその上に、今回の件も加わったら…」

若い隊長に、女王暗殺未遂の罪を押し付けたという…あの一件で、我々は散々国内外から非難を受けた。

今でこそ、少しずつ鎮静化してきているが…。

今回のことが国民達の耳に入れば…間違いなく、ルレイア殿のことも蒸し返されるだろうな。

ルレイア殿の件に加え、今回の件も責められるとなれば。

帝国騎士団の威信は、地に堕ちる。

それだけは絶対に避けなければならない。

「…こんなとき、ルレイアなら何て言うだろうな」

オルタンス殿は、ぽつりとそう呟いた。

…あの人なら…きっと。

闇に堕ちたあの人は。きっとこの話は受けないだろう。

だからこそ、俺達はその逆の道を行かなければならないのだ。

俺達は、正義でなければならないのだから。

「…良いだろう。ではルーシッド…。お前に一任する」

「はい?」

オルタンス殿は、買い物でも頼むかのように、気軽に俺にそう言った。

「箱庭帝国の革命軍…『青薔薇解放戦線』と言ったな。彼らのことについては、貴殿に一任する。貴殿が思うようにやってくれれば良い」

「は…!?ちょ、オルタンス殿?」

「何か問題が?」

そんな、きょとんとして首を傾げられても。

一任する、なんて…願ってもない言葉ではあるが、しかし。

「良いのですか…?こんな重大なこと、俺に…」

「貴殿が一番適任じゃないか」

一体どんな根拠があって、俺が適任だと判断したのか。

「正気か、オルタンス殿…。こんな若輩者に」

五番隊のアストラエア殿が眉をひそめてそう言った。
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