The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「どうしたルルシー先輩。俺達のことは徹底的に無視するつもりだったんじゃないのか」

「お前が聞き捨てならんことを言うからだろ!何だって?誰が総受けのネコだって!?」

俺がまるで…その、そっち系の人みたいに言うのやめろ!

「あぁ、ごめん。大丈夫だ、あくまでイメージで名付けただけだから」

何が大丈夫なんだ。大問題だ。

悪意しか感じないネーミングセンスじゃないか。

「はいはーい!アリューシャはねー、アリューシャって名前付けたぜ!」

「アリューシャは黙ってろ!」

今入ってくるな。今。

「大体お前ら、さっきから何の話してるんだ。性格だとか名前だとか…」

そういえば、アバターだとかも言ってたな。

一体何の話だ?

突っ込むつもりなんてなかったのに、結局聞いてしまっている。

これも全部ルリシヤのせいだ。

「これですよぅ、ルルシー。知らないんですか?」

「あ…?何だこれ?」

ルレイアは、愛用のスマホを俺の前に見せた。

そこには、可愛くデフォルメされた黒髪縦ロールの女の子が、いかにもルレイアの好きそうなふりっふりのゴスロリドレスに身を包んでいた。

「…?」

…何だこれ。

「今流行りのスマホゲーですよ。『美少女育成ゲーム ロリータ・プリンセス』。略してロリプリ!この間皆でインストールして、一緒にやってるんです」

「…」

…お前ら、そんなことやってたの?

…仕事は?

泣く子も黙る『青薔薇連合会』の幹部が、こぞって美少女育成ゲームでわちゃわちゃしてるなんて。

…世も末だな。

「言い出しっぺは誰だ?」

「俺ですよ!ルルシー!」

だろうな。

ルリシヤは馬鹿だから、ルレイアの誘いにすぐ乗ったのだろう。

アリューシャなんてもっと馬鹿だから、こちらもすぐルレイアの誘いに乗り。

いつもならこういう馬鹿げたことには乗らないシュノも、ルレイアに誘われれば、にこにこと言うことを聞いてしまうし。

「…アイズ。せめてお前だけは止められなかったのか」

「え?別に…。アリューシャ楽しそうだったし、それにこれ、やってみるとなかなか面白いよ。アシュトーリアさんにも勧めてみたけど、彼女も楽しそうにやってた」

アシュトーリアさん。あなたもか。

駄目だ…。まともな奴が一人もいねぇ。

「ルルシーもやりましょうよ」

「は?何で俺がそんなこと」

俺にはそんな暇はないし、大体そんなことに興味はないのだ。

しかし。

「そんなこと!?あなたは恋人の趣味を否定するんですか!?酷い!えーんシュノさん。ルルシーが酷いんです~。俺の趣味を侮辱するんですよ~!」

あっ、こいつまた。

ルレイアはシュノに泣きついていた。勿論嘘泣きだ。

それなのに、シュノはいつものごとくそれを本気にするので。

ルレイアが泣かされた!とばかりにはっ、として、そしてきっ、とこちらを睨んだ。

「ルルシー!それは酷いと思うわ。女の子の趣味を認めてあげないなんて!」

「いや…。女の子じゃねぇし…」

こういうやり取り、もう何回目?

いい加減それが嘘泣きだって気づいてくれないものか。

「やりましょうよ~ルルシーも。この際課金はしなくても良いですから~」

「…お前、課金までしてんの?」

「大した金額じゃないですよ。月10万くらいですから」

廃課金お疲れ様。

こいつ、馬鹿じゃね?

ひとまず、ルレイアの後頭部をべしっ、とはたいておいた。

「痛いルルシー!」

「金を無駄使いすんな!この馬鹿」

『青薔薇連合会』の幹部ともなれば、そりゃ確かに金に困ることはないけども。

だからって、携帯の中の女の子の服を買う為に、月10万も費やすなんて。

「俺が稼いだんだから好きに使って良いじゃないですか~!それにハーレム会員も貢いでくれるし」

お前のハーレム会員も、まさか自分が貢いだ金が、二次元の女の子のゴスロリ服に使われてるとは思わんだろうな。

悪魔か。お前は。
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