The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
悔しいが、今回ばかりは彼の言う通りだ。

俺は確かに若輩者だし、こんな大役を任せるには荷が重いと…思われてもおかしくない。

しかし。

「その若輩者が、ルティス帝国の次の時代を担うんだ。少しは経験を積ませるべきだとは思わないか?」

「…」

オルタンス殿にそう言い返され、アストラエア殿は黙り込んだ。

「そういう訳だ。期待しているぞ、ルーシッド」

「…分かりました。お任せください」

任せてくれるのなら、応える。

それに、これは願ってもない抜擢だ。

これで俺は…正義を行うことが出来る。





会議の後。

アドルファス殿は、オルタンス殿を捕まえて、こう尋ねた。

「…良いのか?オルタンス。あいつに任せて」

アドルファス殿の問いに、オルタンス殿はあっけらかんとして答えた。

「良いんだ。彼なら恐らく…上手くやってくれることだろう」

「…お前、あのルーシッドに…ルレイアのことを重ねてるだろう。昔のルレイア…ルシファーのことを」

かつて、俺と同じ年のとき帝国騎士団四番隊隊長だったルシファー…こと、ルレイア。

彼のことを、オルタンス殿はまだ忘れられないのだろう。

「…そう思うか?」

「思うね。あいつをルシファーの代わりにしようとしてるんだろうが…。あいつとルレイアは、根本的に違う人間だぞ」

「あぁ、分かってる…。ルーシッドは、ルレイアにはなれない。良い意味でも…悪い意味でもな」

「…分かってるなら良いけどよ」

そう言って立ち去ったアドルファス殿の背を眺めながら、オルタンス殿はぽつりと呟いた。

「…ルーシッドにルレイアの代わりは出来ない。…彼は唯一無二の存在だったんだからな」




< 75 / 791 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop