The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「る~る~し~!ルルシー!ルルシー!」

「何だよ…ルレイア」

「おめでたですよ~ルルシー!」

いやはや、これはおめでたい。

とってもおめでたい。素晴らしいことだよ。

「おめでた…?そうか、第二子か、おめでとうルルシー先輩」

ぽん、とルルシーの肩に手を乗せるルリシヤ。

「第一子は何処だよ」

残念ながら俺達はまだ子無し夫婦である。

俺は子供なんて要らないな。嫌いだし。

「じゃあ誰のおめでたなんだ?」

「えーっと、あれだ。名前、その~…。ルナニア!」

「…ルアリスか?」

「そう、それそれ。ルアリスですよ、ルアリス。ルアリスがおめでたなんだそうです」

「お前な、ちょくちょくルアリスの名前忘れるのやめてやれよ…ってか、え?おめでた?」

「招待状が来たんですよ、ほら」

今朝届いたばかりの、白い招待状。

結婚式の招待状である。

「ほう…。結婚式だな」

ルリシヤはしげしげと眺めてそう言った。

ね?おめでたでしょ?

「えっ…。結婚式、マジでするのか?春に?」

「そうなんですよ~!ここ毎月に渡って、『結婚式は春ですよね』って言い続けてきた甲斐がありましたね!」

正しく恋のキューピッドだよ、俺は。

「…脅迫じゃねぇか…」

「デキ婚、事実婚、別居婚と色々あるが、脅迫婚とはまた珍しいな」

結果として二人が結び付いたんだから、結果オーライだ。

俺はずっと、こうなって欲しいなと思ってたんだ。

奥手の二人が結婚するように、と。

「で、俺その結婚式にお招きされちゃったんですよ。一緒に行きましょうよ!ルルシー」

「えぇ…。お前、一人で行ってこいよ」

は?ルルシー、あなた今何て?

…気のせいだ。聞き間違いに違いない。

改めてもう一回。

「一緒に行きましょうよ!ルルシー」

「…だから、お前一人で行けって」

うん。また聞き間違いに違いない。

「一緒に行きましょうよ!ルルシー」

「…一人で…」

「一緒に行きましょうよ!ルルシー」

「…」

「駄目だルルシー先輩。うんと言うまで永遠に壊れた玩具のようにリピートし続けるぞ」

「…分かった。行くよ」

やったぁ。

「そう来なくちゃ!楽しみですね~ルルシー」

「はぁ…」

「良いな…。結婚式、楽しそうで」

ぽつりと呟くルリシヤ。

だが残念ながら、招待されたのは俺とルルシーのみなのだ。

「実質これはルルシーと二人で海外旅行ですよ。行きの飛行機から帰りの飛行機まで、一杯いちゃいちゃしましょうねルルシー。何せ二人っきりの旅行ですもんね?この機に二人の親睦を深めて、帰りの空港で俺達も結婚を誓いましょうね」

「これが本当の成田結婚、って奴だな」

ルリシヤ上手い。

よし、目指そう。ルアリスの結婚式見たら、ルルシーも結婚を意識してくれるかも。

「うふふー、ルルシ~…」

「…ルリシヤ。やっぱりお前も一緒に来てくれ」

腕にしがみついてすりすりする俺を見て、ルルシーは真顔でルリシヤを誘った。

「良いのか?俺は招かれていないが」

そもそもルリシヤはルアリスのことよく知らないよね。

あの頃はまだ、ルリシヤは加入してなかったし。

「無理矢理捩じ込むから大丈夫だ。ルレイアと二人きりだと身が持たんと言えば、ルアリスなら分かってくれるはずだ」

えー、ひどーい。

「行って良いなら行こう。俺も異国の結婚式とやらを見てみたい」

「よし、頼む」

こうして、ルアリスの結婚式に参加するメンバーが決まった。

ルリシヤが来るのは構わないけど、やっぱり二人きりで行きたかったかな。ちょっと残念。
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