The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「結婚式かぁ~!えぇなぁ~アリューシャも行きてぇ」

「めでたいことで何よりだね。あの二人が結び付けば、箱庭帝国は安泰だ」

「良いな…。結婚式。どんなウェディングドレスなのかなぁ…」

アリューシャ、アイズレンシア、シュノさんにも、ルアリスの結婚式を話をすると。

三人は、このような反応であった。

「アリューシャは結婚式の間じっとしてられんだろ」

「だって食い物美味そうじゃん!ウェディングケーキとか食うんだろ?」

「…やっぱりお前は食い気か」

まぁまぁ。それも結婚式の楽しみの一つではあるから。

しかし、今回はルティス帝国の結婚式ではないのだ。

従って。

「アリューシャ。残念ながら箱庭帝国の食事はアリューシャの口には合わないと思いますよ。食べ物は基本不味いですからね、あの国は」

「えっ、マジかよ。じゃあやめとこ」

最近は箱庭帝国の料理もルティス風になってきているけど、まだまだ本場のルティス料理とは程遠い。

食べ物については、そんなに期待しないほうが良いだろう。

ウェディングケーキもしかり。そもそもあの国の結婚式は、ルティス式の結婚式ではないだろうから。

ウェディングケーキがあるのかどうかも疑問だ。

別に甘党でも何でもなくなった俺には、関係のない話だが。

「ね、ルレイア。花嫁さんのウェディングドレス、写真撮ってきてね。私見てみたい」

アリューシャとは異なり、シュノさんの興味関心は花嫁のウェディングドレスにあるようだ。

実はそこ、俺も気になっている。

ルティス帝国のファッションリーダーだからな、俺は。

「分かりました。撮っておきますね」

「うん、お願い」

…でもなぁ。

料理と同様、実はこちらもあまり期待出来ないのだ。

「…ウェディングドレスが黒だったら良かったんですけどねぇ…」

残念ながら、白なんだそうだ。

「えっ、黒じゃないの?」

「黒じゃないんですよ…。招待状が届いてすぐ、『ドレスは黒ですよね?良かったら送りますよ?』って言ったんですけど…。もう向こうで用意してるって。しかも、セトナさん家のフォルカーティン家に代々伝わる伝統的な花嫁衣装を使うって言われちゃ、ごり押しも出来ませんし」

「そうなの…。お色直しは?」

「そもそもお色直しという文化がないそうです」

式の間中、お着替えはなしだって。

はっ、つまんね。

「そうなのね、残念だわ…」

「本当残念ですよ」

黒…似合うと思ったんだけどなぁ。

「…そもそも結婚式は普通、黒じゃないんだけどな」

「黒って葬式じゃね?」

「まぁおめでたい場ではあんまり黒は着ないよね」

ルルシー達が何やらひそひそ言っていた。

違うんだよ。常識とかドレスコードとかの話をしてるんじゃないんだよ。

ただ似合うか似合わないかの話。それだけ。

「仕方ないので、俺だけは黒を着ていこうと思います」

いつもの、全身真っ黒コーデで。

「は?馬鹿、ルレイアお前。ドレスコードを守れ。スーツは黒で良いけどネクタイやシャツは…」

「やです。全部黒です」

そしてメイクして黒いネイルして、青い薔薇のブローチをつけていきます。

いつもの俺のファッションだ。

「葬式じゃないんだぞ?めでたい席なんだから、今回くらいはまともな…」

今回くらいって。

まるで、いつも俺がまともじゃないみたいじゃないか。失礼な。
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