The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

sideルルシー

──────…ルアリスの結婚式、当日。

俺は心配だった。色んなことが心配だった。

何が心配って、まず…俺の相棒。

「見てくださいルリシヤ。似合うでしょ?」

「あぁ。今日も決まってるな、ルレイア先輩」

「うふふ~」

ルリシヤに褒められてご満悦のルレイアだが。

こいつの、今日の格好。

ドレスコードを守れと、口を酸っぱくして言っても全く言うことを聞かないルレイアは。

…案の定、全身を真っ黒の衣装で固めていた。

ダークスーツに、黒シャツ、黒ネクタイ。

誕生日に俺がプレゼントした、真っ黒のフィンガーブレスレット。ルリシヤにもらった黒い蝶の髪飾り。

ネイルも黒。靴も勿論黒。何処もかしこも黒まみれ。

それなのに、胸につけた薔薇のブローチは青。

…こんな格好で結婚式に出るなんて。ルアリスに申し訳なくて仕方ない。

しかも。

「…ルリシヤ。お前までドレスコードを破るな」

「うん?俺はルレイア先輩とは違って、全身黒ではないぞ?」

「…」

ルリシヤもまた、ダークスーツ、黒シャツと黒いネクタイ。

首から下は、ルレイアと大差ない。

違うのは、顔。

化粧をしていないという点と、それから…。

「ルリシヤそれ素敵ですねぇ、その仮面」

「だろう?結婚式だからな。今日は特別に、白い仮面だ」

どやぁ、と渾身のどや顔を見せるルリシヤ。

…仮面が白くなったからって、それがどうしたって言うんだよ。

まともな格好してるの、俺だけ。

この変質者二人の連れだと思われるの、めちゃくちゃ嫌なんだけど。

あぁ…もう頭痛い。

何処かに慰めはないものかと辺りを見渡す。

すると。

「あっ…ルヴィア」

いた。俺の慰め。

そうだ、俺にはルヴィアがいる。ルヴィアは俺と同じくまともな格好をして、嫁を連れて歩いていた。

ルヴィアがいて良かった…と、彼に声をかけようとしたが。

「フューニャ、そのドレス凄く綺麗だよ」

「…ふん。褒めても何も出ませんよ。それに…今日の主役はセトナ様なのだから、彼女を見れば良いんです」

「でも俺にとっては、セトナ様よりフューニャの方がずっと綺麗だ」

…駄目だ。嫁モードに入っていらっしゃる。

あっちはあっちで頭おかしいよな。

ルレイア達とはまた違うタイプだ。

やっぱりまともなのは俺だけ。

そして、問題はそれだけではないのだ。

「しかしあれですね。セトナさんのウェディングドレス、ダッサいですね。あんなの着るくらいなら俺の用意したゴスロリ着る方がまだまし、もごもごもご」

「うん、ルレイア。ちょっと黙ってような…!」

周りがぎょっとしてこちらを見てるから。でかい声で馬鹿なこと言うもんじゃない。

それにあの花嫁衣装、セトナによく似合ってるじゃないか。

確かに派手ではないけど、真っ白で素朴で、とても奥ゆかしい印象を受ける。

それでいて気品を感じるし、俺はルレイアのゴスロリドレスよりこっちの方が良いと思う。

セトナに似合ってる。

そうだというのに、このゴスロリ馬鹿。

ゴスロリに染まるのは良いが、自分だけにしろ。

周囲を巻き込むんじゃない。

大体変な服を着て、ぷんぷんとフェロモンを撒き散らしている時点で、充分目立ちまくってるのに。

お前、今日の主役はルアリスとセトナなんだぞ?本当に分かってるのか?

お口チャックしなさい、と小学生によく言うけれど。

本当お口チャックさせたい。この馬鹿。
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