The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
それなのに、ルレイアをお口チャックさせる訳にはいかないのだ。

何故なら。

「よしっ、そろそろ俺のスピーチのお時間ですね」

「…はぁ」

俺の憂鬱の種は、これである。

こんな人外生物みたいなのが、結婚式のスピーチなんて。

「良いか、ルレイア。頼むから変なこと言うなよ」

皆見てるんだからな。聞いてるんだからな?

ルアリスとセトナの、一生の思い出になるんだからな?

「分かってますよ~。教科書に乗るほどばっちり決めてみせます」

…本当なんだろうな…?

「じゃ、行ってきま~す」

「頑張れ、ルレイア先輩」

「は~い」

…少しくらい、緊張感というものを持ってくれないだろうか。

先が思いやられる。

ルレイアはほんの少しも緊張した様子もなく、鼻唄混じりにマイクの前に立った。

何でルレイアが緊張してないのに、俺が緊張してるんだよ。

ルアリスも緊張しているに違いない。皆の前なのに、変なこと言ってくれるなよ…と。

しかし、相手はルレイア。

この男が、まともにスピーチなんてするはずがなかった。

「えーっと…。この度は~…るー…るー…ルナ…いや、ルファ…ん?ルニキス?」

「ルレイア先輩、ルニキスは前の俺だ」

「あぁそうでした。えーとごめんなさい、あなた名前何でしたっけ?」

悲報。新郎の友人代表、新郎の名前を忘れる。

あんの馬鹿…!何回ルアリスの名前忘れたら気が済むんだ!

ってかわざとだろ!

「あの…ルアリスです」

ルアリスはおずおずと小さな声で答えた。

「あぁ、ルアリスね。ルアリスルアリス。ルアリスとー、セトナさん。結婚おめでとうございます。俺は二人の恋のキューピッドにして、先の革命でもルアリスと一緒に戦った、ルアリスにとっては大恩人で、かつルルシーの彼氏です。あっ、ついでに『青薔薇連合会』の幹部です」

…もうこの時点でアウト。

要らん情報ばっか言いやがって…!『青薔薇連合会』の幹部です、だけで良いんだよ。
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