The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「そうですよルルシー。ルルシーも仮装しましょうよ。そしたらお菓子を用意してなかったことは許してあげます」

「は…!?何でそうなるんだ!?」

何で俺まで仮装しなきゃならない?

俺はこの怪奇集団に加わるつもりはないぞ。

「だって言ったでしょ?お菓子くれなきゃ悪戯するって」

「いや…お前、お菓子くれても悪戯する、って言ってなかったか?」

万が一俺が用意してたとしても、悪戯する気満々だったよな?

しかしルレイアは、ちゃっかりとそれをなかったことにしており。

「言ってませんよそんなこと。ルルシーはお菓子くれなかったので、俺に悪戯されなきゃいけないんです!」

「何だ、それ…。勝手な…!」

「ルルシーに選択肢をあげます。素直に仮装するのと、俺にベッドで『悪戯』されるの、どちらが良いですか?」

「…分かったよ。着るよ」

俺に選択肢ないじゃん。もう。

ちょっと残念そうな顔をするなよ馬鹿。

お前にベッドでの『悪戯』って。それもう悪夢じゃないか。

こうなれば、最早腹を括るしかない。

気は進まないが、ルレイアに付き合って仮装するしかない。

「で…?俺は何を着れば良いんだ?」

「うふふ。実はルルシー用に用意してあるんですよ~。さぁ、これを着てください!」

「ちなみに、選んだのは俺だ。ルルシー先輩に似合いそうなものを選んだからな」

どや顔のルリシヤ。

…何だろう。不安が募る。

満面の笑みでルレイアが差し出した衣装は、案の定。

…黒みがかった赤ずきんと、黒いワンピースのセット。

しかも、不自然なほど胸元が開いている上に、ワンピースのスカートの部分にもスリットが入っている。

「…何だこれは」

「赤ずきんちゃんの衣装ですよ!」

それは見たら分かる。

そうじゃなくて。

「…何で女物なんだ」

「何でって…。俺も最初は、ルルシーには 魔法使いの仮装をしてもらおうかなぁと思ってたんですよ。そしたらルリシヤが、『ルルシー先輩には、このえっちな赤ずきんの方が似合うんじゃないか』と言ってきまして」

「…」

「言われてみればそうだなぁと思って、こっちにしました!さぁ着てください!」

…成程な。事情は分かった。

とりあえず、ルリシヤ。

「…ふざけんなお前、ルリシヤ!お前は俺をどの方向に連れていこうとしてんだ!」

「どの方向って…そりゃルレイア先輩の方向だ。エロいの好きだろう?ルレイア先輩は。これも先輩を気遣ってこそだ」

「俺も先輩だろうが!俺にも気を遣え!」

何でお前の気遣いは、いつもルレイアだけなんだよ!

「とにかくこれ着ないとベッドで『悪戯』なので。早く着てくださいね」

「くそっ…!何なんだお前らは!」

「往生際が悪いぞルルシー先輩。確かに男が着るにはだいぶ無理がある衣装だが」

「ふざけんな!お前が選んだんだろ!」

「アイ公~。アリューシャ、ふろっけんしゅてるんなんだぜ!」

「アリューシャ。フランケンシュタイン、ね」

「お前らはいつまでお遊戯会やってんだ!」

こんな破廉恥極まりないコスプレなんて、絶対にしたくなかったのだが。

断れば、ルレイアが「じゃあ今夜はルルシーん家に『悪戯』しに行きますね」なんて、にこっと笑顔で言われ。

選択肢をなくした俺は、泣く泣く赤ずきんのコスプレ衣装に袖を通したのだった。

とりあえずルリシヤ。お前、この恨みは忘れんからな。
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