The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
しかし。

「いや、ルレイア…。どうやら今回の件については、帝国騎士団は関与してないみたいだよ」

「…どういうことです?」

帝国騎士団が関与してない、だと?

「帝国騎士団は『青薔薇解放戦線』に協力してるんでしょう?」

「そうだね。でも今回彼らを国内に手引きしたのは、国境近くに住むルティス帝国名家の貴族だって話だ。そして革命軍はその貴族のお膝元に拠点を構えるらしい」

「…貴族…?」

一体それはどういうことだ?

「ルティス帝国の貴族…って。革命軍に協力してるってこと?」

「それってどんなの?ルレ公の実家みたいな?」

「革命軍を匿えるほどの財力を持った貴族が、国境近くに…?ルレイア、知ってる?」

と、シュノさんが俺に尋ねた。

貴族について知りたいなら、元貴族の俺に聞くのか一番だろうな。

残念ながら、一つ思い当たる家がある。

「…恐らくそれは、ティターニア家でしょうね」

「ティターニア…?」

貴族の事情に疎いらしいシュノさんとアリューシャは、首を傾げていた。

しかし、アイズは。

「聞いたことがある名前だね。確かティターニア家は…女王の親戚筋の家柄だろう?」

さすがアイズ。よく知っているな。

「その通りです。継承権は下っ端ですが、一応王位継承権も持ってるはずです」

「すげぇ!そんな貴族いたのか」

いたんだな。これが。

「そんなに有名なの…。私、知らなかった…」

恥ずかしそうに俯いて、しょぼん、とするシュノさん。

とんでもない。

「大丈夫ですよ、シュノさん。あんな糞みたいな王家の血縁者のことなんて、知らなくても全く困りませんから」

むしろそんな余計な知識を持ってたら、脳みそが汚染されてしまう。

「でもさ、何でそんなおえら~い貴族様が、帝都じゃなくて、国境近くなんてド田舎に住んでるの?」

と、アリューシャ。

その質問はもっともだな。

「確かティターニア家のご主人とやらが、何か不祥事をやらかしたんだそうです。その責任を取って、田舎に引っ越したんですよ」

要するに流罪だな。

「じゃあ、その島流しされた貴族が…革命軍を手引きした、と」

「そういうことでしょうね」

よく考えたものだ。

革命軍という不法入国者を引き入れたのは、ティターニア家。帝国騎士団ではない。

ティターニア家に押し付けておけば、そういう言い訳もつくからな。

オルタンスめ。あの狸野郎。

何食わぬ顔をして、厄介なことをしやがる。
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