The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「自分の国の革命なんだから、自分の国でやれば良いのにな」

アリューシャは、不満そうな顔を隠しもせずにそう言った。

良いこと言うなぁ、アリューシャ。

「俺も全く同感ですよ」

何で、俺達が巻き込まれなければならないのか。

関係ないだろ。

「とはいえ、言いたくはないけど…私達からすればビジネスチャンスだよ。さすがに帝国騎士団もティターニア家も、革命軍に武器を売る訳にはいかないからね」

アイズの言う通りだ。

資金援助なら、ティターニア家や帝国騎士団がいくらでもやるだろう。

でも武器を売る訳にはいかない。一応体面というものがあるからな。

率先して革命軍に武器を売り付けて儲けるのは、さすがに不味い。

それは表社会の帝国騎士団がやることではない。

となると、裏社会の俺達の出番だ。

遠からず『解放戦線』の方から、武器を売ってくれと打診されるだろう。

「この際、めちゃくちゃ高値で売ってやれば良いんじゃね?」

「ナイスアイデアですよアリューシャ。どうせ革命軍に武器を提供出来る組織なんて、うちくらいですからね」

うちからしか買えないのだから、いくら値を吊り上げても買うしかないはず。

すると俺は間接的に、帝国騎士団と、王家の親戚筋であるティターニア家の懐を攻撃出来る訳だ。

こんなに愉快なことがあるか?

「まぁ、程々にしろよ…。後で恨まれちゃ堪らないぞ」

ルルシーが、呆れた顔で釘を刺した。

全く。ルルシーは真面目なんだから。

「それにしても、革命軍の構成員全員が脱国したんでしょう?憲兵局は…今頃おおわらわでしょうね」

シュノさんが言った。

「でしょうね~。革命軍規模の国民をみすみす逃がしたとあったら…」

憲兵局の面目、丸潰れだ。

この波に乗じて、革命軍に参加しようと追随して脱国を目論む国民も激増するだろうしな。

そうなれば、革命軍は更に勢力を増すことになる。

『解放戦線』の奴ら、国境近くで警備してた憲兵局員を襲って拘束した上で、国境を抜けてきたらしい。

これから、国境の警備は更に厳重になるだろうな。

憲兵局としては…どうにかして、名誉を取り戻したいところだろう。

「アイズ、憲兵局の動きはどんな感じです?」

「詳しいところは分からない。あの国の情報を探るのは至難だからね」

あれだけの秘密主義じゃ、アイズが入り込めないのも仕方ないか。

「でも、相当焦ってるのは確かだよ。革命なんて、憲兵局にとっては絶対に避けたいことだろうからね」

自分達が腐っている自覚があるんだろうか。あいつら。

「全く…ご愁傷様ですね」

この時点で俺は、箱庭帝国の革命には自分達は関与することはないと思っていた。

精々、革命を利用して一稼ぎさせてもらう程度だと。

状況が一変するのは、それから少し後のことだった。
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