The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
何度も言ってることだが。

俺は、誰にも邪魔されずに仕事に集中したいのだ。

そうだというのに、何故こいつは俺の邪魔をしに来るんだ?

『青薔薇連合会』の幹部って、そんなに暇だっけ?

「ルルシー、俺に何かしてくれるんでしょう?」

目をきらきら輝かせるルレイア。

…悪いのだが、何の話か分からない。

「…何の話だ?」

「も~、ルルシーったら冗談がお上手~♪」

ツン、とつっついてくるルレイア。やめろ。

…何の話なんだか、本当に分からない。

俺、ルレイアに何かしなきゃならないことあったっけ?

「うふふ。だってルルシー。今日はホワイトデーですよ?」

「…ホワイトデー?」

デスクの上の卓上カレンダーを見る。

成程、今日そういえば、3月14日だ。

「俺、バレンタインデーにルルシーにチョコあげましたよね?しかも俺の手作りのチョコ」

「…」

そういえば…そうだったね。

俺にとってはあれはもう忘れたい過去になっているので、ほとんど忘れかけていたが。

「俺があんなに頑張って手作りチョコを作ったんだから…ホワイトデーには、ルルシーはきっと素晴らしいサプライズを用意してくれてるんでしょうね~?」

「…」

…あれ?気のせいかな…。今日は日が照っていて、暖かいはずなのに。

…物凄く、背筋が寒くなってきた。

「ま・さ・か、何もないなんてことはないですよね~。バレンタインにあれだけ頑張ったんだから、もしホワイトデーに何もないなんてことがあったら…俺、どうなっちゃうか分かりませんね~」

「…どうなるの?」

「そうですね…。怒りのあまり、ルルシーを押し倒して、溜まりに溜まった欲望を発散する…だけで済めば良いですけど」

…けど、何?

それだけでも充分悪夢なんだけど?

「…もしかしたら、あまりに怒り過ぎて、ルルシーを鳥籠の中に閉じ込めて、一生俺だけのモノにしてしまうかもしれませんねぇ」

「ルレイア…。俺が悪かった」

椅子に座っていなかったら、今すぐ土下座していたことだろう。

なんとしても、拉致監禁だけは避けなければならなかった。

「…本当に何も用意してないんですか?」

「…ごめん…」

ホワイトデーだってこと、忘れてたんだ。俺。

あれ?大体俺、バレンタインのお返しってことで、飯作らされたよな?

それはなかったことになってんの?

「ホワイトデーを忘れるなんて、恋人失格ですよルルシー。俺に押し倒されても文句言えませんよ?」

「ごめん…」

いくらでも謝るから、押し倒すのと拉致監禁は勘弁してくれ。

ん?お前の恋人になった覚えはないのだが?

「今晩、何でも好きなもの作ってやるから…。あと、カラオケも付き合うから。それで許してくれ」

「もー、仕方ないですねぇ。俺は謙虚で優しいから、ルルシーのご飯と、ルルシーカラオケと、あとルルシーとの初夜だけで勘弁してあげますよ」

「あぁ…」

…ん?ちょっと待て。最後何て言った?

ひとまず、拉致監禁を避けられそうなのは良かったが…。
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