レンアイゴッコ(仮)
目の前で(一応?)彼氏が、(とっても!)可愛い後輩に誘われている。私なんて、まるで背景みたい。

東雲への切り札になりそうな話なのに、直視できないなんて、敵に丸腰の背中を見せているようなものだ。

東雲、行っちゃうんだろうなー……。

すん……っと鼻を啜って不貞腐れている私の目の前に、きらん、星が散る。



「悪いけど俺、今から彼女の家行くから無理」



まるで仕事の予定のように決定事項を告げる男。

当の本人、もちろん、初耳。

「え、彼女いたんですね……?」

種類は違っても、初耳は同じ彼女たち。

「酔ったら恋人に会いたくならない?」

「分かりますー!」

しかも……。

「(私よりも恋バナで盛り上がってない……!?)」

無愛想で周囲に無頓着なように見えて、人心掌握術でも会得しているのか、意外な顔を発見してしまった。

女子の誘いをハッキリ断ってくれるのは、正直ありがたい。

「じゃあまた飲みましょうね」

「ああ。帰宅、気をつけて」

けれども、釈然としないのは何故だろう。
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