レンアイゴッコ(仮)
けれども、動揺の光も一瞬で消えると東雲は深く俯いた。背伸びをして迎えに行った。東雲の身体で遮られる視界。ビニール袋が擦れた音が聞こえた。肩口に東雲の重さを感じたその時、優しく包み込まれる。

東雲の服からはちょっとだけタバコの臭いがした。その奥に、いつも感じる東雲の香りが残されている。

前回も思ったけれど、東雲は静かだ。静かに、丁寧に私という液体を両手で掬って、自分というかたちに作り直すように抱きしめる。

ふわふわするのに地に足が着く感覚。支えられて、支えて、立てている感覚。

安心する。意地になって、トゲトゲしていた心がこの五秒間でまあるくなってゆく。

同じタイミングでお互いの身体から力が抜けた。見上げる。東雲も私を見下ろしていたのか涼し気な視線と出会い、途端に恥ずかしくなる。

「こないだ思ったけど」

「うん」

「おまえ細すぎない?体重30キロあんの」

「し……つれいな!30キロくらいあるわよ!」

「はあ?嘘言うな」

何が悲しく体重を言わなくてはならないのか。

「本当だっ……!?」

ムキになっていると、突然、浮遊感におそわれる。
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