レンアイゴッコ(仮)
アンビバレンス・ハニー
『柑花のこと、もう、女として見れないわ』
あの言葉をもらった時、既にあの恋は終わっていたのかもしれない。
𓂃𓈒 ❅ *
「今日の妃立さん、爆美女感えぐいですね」
休憩も終盤。休憩室で宮尾ちゃんが突然「写真撮っていいっすか?」とスマホを向けてきた。しかも、私の答えを聞く前にカシャカシャと切り取る音が聞こえた。
ちゃんと加工してよね?
……じゃなくて!
「き……気合い入れすぎかな!?」
「え?デートですか?」
デート、という単語にひとり赤面。
あれから東雲は今日の水族館の話を全くしない。
だから困る。
「デート……なのかな……」
仕事なのか、プライベートなのか、分からないまま今日を迎えてしまった。
「彼氏とですよね?デートじゃないんですか?」
「そうなんだけど、分かりにくい人で……」
言いながら肩を落とす。
一応、一番お気に入りのカットソーとタイトスカートを身にまとい、コテで丁寧に髪を巻いて、一軍コスメで化粧をしてみた。……一応。
蓋を開けてみれば東雲はいつも通りのスーツだし、私ばかりが期待していたみたい。
そんな私をみて、宮尾ちゃんは人差し指をピンと立てた。
「デートじゃなくても、デートに持っていけば良いんですよ」