レンアイゴッコ(仮)
「デートに持っていく……とは?」
耳打ちすると、宮尾ちゃんはにやり、企む。嫌な予感だ。
「雰囲気ですよ。エロい雰囲気を醸し出すんですよ。ホテルに誘えばいいじゃないですか!」
ほらね、的中。
正爾の時だって、誕生日だからって仕事帰りに無理して行かなくても良かったのに何故か身体が動いたのもこの見えない第六感というものだ。許し難い。出来れば鈍感で居たかった。そんなことを言うと、『正真正銘の鈍感は言うことが違うな』と弟は嘲笑する。どういう意味だ。
「誘えるか!」
気を取り直して宮尾ちゃんに向き合うと、彼女はまん丸の目をさらに大きくさせた。
「え〜!?彼氏なんでしょ!?イケますよ!」
「い……」
けたら困る!!を飲み込み「無理無理!」と、首を横に振った。初心じゃないのに、顔は真っ赤に染め上がっている、そんな自覚がある。
「妃立さんが誘えば芸能人だろうが一発ですよ!」
「ハードル上げないで!!」
「骨ウェの盛れる角度集が確かあったんですよね……あとで探して、まとめて送りますね!」
謎の使命感に駆られたらしい宮尾ちゃんはそう言い残し自分のデスクへと戻った。