レンアイゴッコ(仮)
共通の趣味を知り、一気に目の前がキラキラと輝く。
けれども、喜ぶのはまだ早い。

「観戦?それとも、プレーする方?」

空を切るように頭上でトスを真似る。

「両方だけど、一応する方」

「ねえ、もしかして、バレー経験者?」

「うん」

完全に文系だとばかり思っていたけれど、そうなんだ。バレー部なんだ。高身長の東雲ならミドルブロッカーだろうか。セッターも有り得るけれど、アウトサイドヒッターとオポジットは考えにくい。

と、頭の中でバレーのコートをイメージしたところで妄想を中断させた。

「私、マネージャーしてたよ。大学の時もたまに手伝いに行ってた!」

「へえ、まじか」

「まあ、大学の時は行けば飲み会に誘って貰えてたからね〜」

「大丈夫だったの」

「大丈夫?なにが?」

「変な飲まされ方してないよな」

「前に話さなかったかな……私、元々すごいボーイッシュで。だから女として扱われてなくて」

「何言ってんの。どう見ても女だろ」

笑い話の途中、突然の不意打ちにときめく。
東雲の目は、茶化していないことを示唆していた。

「ねえ、今までこんなに時間があったのに、なんで教えてくれなかったの?」

「聞かれなかったから」

確かに東雲は自ら個人情報を渡す男じゃないのも理解できるけれど、教えてくれたらもっと話せたのにな……。
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