レンアイゴッコ(仮)
「たとえば最近、彼女に指摘されたことはある?」
「(スルーしなさいよ、無視定期、仕事に戻ろう!)」
じりじりと念を送る。東雲は他人に興味がないから、おそらく問題はないだろう。
「……俺、他人にあまり興味無いんですけど」
「なさそうね」
勘は当たったのに私の願いは虚しく、こんな時、東雲は律儀に先輩の質問に答えてしまう。いつも無視するのに!なんでよ!
「それを改めろと言われたから、後輩を飲みに誘おうと思ったけれど、先ず持って誘い方がわからない」
しかも、いつかお酒のついでに出たことを覚えていたらしい。
なによそれ、誘い方が分からないって可愛いかよ……!!
デートにはサラッと誘うくせに?
「それを後輩の前で言うのも東雲らしいわね」
「俺、めっちゃ後輩すよ!誘ってみてくださいよ!」
悶絶していれば、鈴木がブンブンと手を振って、ここぞとばかりにアピールする。
「鈴木くん、今夜飲みに行きませんか」
「嫌です〜〜〜!」
「(遊ばれてる……!)」
鈴木に断られた東雲は、すん……ッと拗ねてしまうから、坂下先輩はけらけらと笑うし、鈴木は焦る。
「わああ、ごめんなさい東雲さん!!!行きます!」
「行かない」
鈴木、ドンマイだ。
「今までは対して彼女の事話さなかったくせに、従来の彼女とは違う感じね?もしかして、例の好きな子と進展があったの?」
「(……え?)」
坂下先輩の見解に、思わず口を噤む。