レンアイゴッコ(仮)
「……え?」

今のは夢?それとも……寝言?

まぼろし〜!と、まさか東雲が一発ギャグでもしてくれるの?

どう転んでも都合のいいように考えてしまう。寝返りを打った。視界はすっかり暗がりに慣れ、東雲と目が合った瞬間、胸の中で火花が散る。


「試しに、俺と付き合ってみる?」


起伏のない、フラットな声で聞かされた戯言。

瞬きさせた。ちいさな火花が散った。

「……東雲と?」

「そう。俺と」

「またまた、何言ってんの」

「俺は基本束縛しないし、妃立の裏の顔も知ってるから、取り繕う努力もしなくていい」

「……なるほど」

東雲は口数が多い方じゃない。けれど、その時々で欲しい言葉をくれる人。だからか、私は簡単に腑に落ちてしまった。

「あと、諸事情は何となく知ってるから無理強いしない」

優良物件だ。

「それから、週一飲みに付き合う」

最高である。

「どうする?」

暗闇の中委ねられた選択肢。

私の手の中に落とされた答えは、ひとつしか無かった。


──「付き合う」
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