レンアイゴッコ(仮)
“他の子に触れないで”

妃立のことを傷つけたのは、おそらくあの時の俺の行動だ。

言い訳をするなら、邪魔されたくなかった。二人で昼休憩を取るつもりが坂下さんと打ち合わせを兼ねた昼食になって、鈴木まで加わって、俺としてはこれ以上の邪魔は好ましくなかった。

脳内で最適解を導き出したは良いけれど、それは俺の勝手な思い込み。

──……それに。

「カンナと付き合った!?は!?なんでどういうこといつのま……」
「莇だまれ。経緯は」

少し前になるけれど、学生時代の友人と飲みに行った。

喧しい腐れ縁の莇は置いといて、藤ふじは高校の頃の友人だ。佐々木さんの店で飲むと大体高校の時の話になるのは当然で、その余波でうっかり口を滑らせた。

「同じ会社だった」

かなり端折って言うと「……え、働いて何年目だっけ」と、すかさず藤が指摘するので「五年」と、秘密にしていた期間を告げた。顰蹙を買うのは目に見えていた。

「おまえなあ、五年も俺らに黙ってたのかよ!?」

「邪魔するじゃん」

「協力するよね〜」


藤はまだしも、莇は信用ならないので言わなかったことをどうか察して欲しい。
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