レンアイゴッコ(仮)
東雲とハグすると安心する。自分の足から根が出て地面と自分を繋ぎ止めてくれる感覚。

けれども、安心の中に混ざる、ほんの少しのメンタル崩壊要素。

ハグはしてくれる。キスは未遂。一緒には眠る。

……手は出さない。

25秒の間にしっかりと不安定な安心感を抱いていると、身体から力が抜けて静かに離れていく。

「(……終わり)」

一息ついていれば、突然、額に温もりが触れた。柔らかいそれは一瞬だけ落とされてすぐに離れる。

「……は?」

しかし、目覚めて間もないからか理解が追いつかない。

「あ、悪い、間違えた。ねむー……」

「(はああ??間違えたって、何??)」

寝ぼけているのか、欠伸を噛み締めた東雲は立ち上がるとキッチンへ向かった。

「(心臓に、わるい……)」

再確認しながら一点だけじわりと熱を持つ額を手で触れた。

頬も同じ熱を持っていることに、私はまだきづかない。




𓂃𓈒 ❅ *



その日の就業時、あることに気づいた。鈴木に頼んでいたチェックがことごとく終わっていないのだ。

パワハラにならないように、辞めさせないようにと甘やかしたせいか、どうやら舐められているらしい。

ここはひとつ、先輩の威厳を見せないと……!


「鈴木、このサイトのチェック、今日までにお願いしたよね?終わってないの」

「あー……すみません、忘れてました」

しかし、鈴木の顔に異変を見つける。

「ちょっと、顔真っ青よ?大丈夫?」

「大丈夫っす!」

「(絶対大丈夫じゃない……)」ら
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