レンアイゴッコ(仮)
𓂃𓈒 ❅ *


アラームの音を感じて目を開けた。隅々まで神経が行き届き、静かに体が覚醒するのを感じる。

あんなに辛いことがあっても必ず朝はやって来る。私が終わらない限り生活は続く。会社という檻に、捕まりに行く日々が。

一歩動かせばだらんと引力に負ける手を何とか動かし、テーブルに置いていたスマホを手探りで探し当てようとして、しばらくして音がやんだ。

音が消える、イコール、まだ寝てもいい。

こんな方程式があればいいのに、世界はなかなか世知辛い。

はあ、起きるか……。

「おはよう」

パチリ、目を開けるとソファーに腰掛ける東雲と視線が絡んだ。

「……おはよ、何かいいにおいするー……」

「コーヒーかな」

「これで紅茶だったら笑っちゃうよ」

軽く笑って、ソファーに座り直し、うんと伸びをして、脱力。
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