レンアイゴッコ(仮)
次の日、東雲は普通に出勤していた。

「昨日、変わりは無かった?」

「はい。問題ないです」

一言、二言を交わす程度で、納期も迫っているため東雲とはほとんど会話がなかった。

〈今日、妃立ん家行っていい?〉

だから、昼休憩をデスクでナッツとゼリー飲料を飲む程度で済ませていると東雲からメッセージを受信して、おどろきすぎて、ゼリー飲料を誤飲するところだった。

離れた場所にいる東雲へと視線を送る。東雲もまた、デスクで栄養バーを齧り、いつものダウナーな雰囲気を纏いパソコンを見つめていた。

この緩急の差がずるいと思う。

〈いいよ。ご飯作ろうか?〉

返信すれば、東雲はすぐにスマホを見た。

〈食べたい〉
〈急募・晩御飯のリクエスト〉
〈オムライスで〉
〈了解。今日は泊まる?〉
〈泊まらない〉

「(……泊まらないんだ)」

やっぱり、私には魅力が無いのかなあって、しゅんとしちゃう。

「(でも、こないだはそんな雰囲気にはなったよね……?)」

あれはもしかして、千載一遇のチャンスで、もう二度と回ってこないかも……!?
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