レンアイゴッコ(仮)
𖦊̌



「(身体に悪い……)」

正面にある妃立の寝顔。あどけなくて、可愛すぎて、目の保養だ。

一緒に寝ようと言われて、理性を味方に付けて誘われた。寝てくれないとさすがに手をだしてしまいそうで危なかったけれど、妃立は俺の不安を他所にすぐに眠った。鈴木のことを負い目に感じて、神経を削らせていたのだろう。

さすがに病人相手に欲情しては人間失格だからな。獣にはなりたくないからな。俺、がんばれ。

それにしても、“絃葉”ってあいつだよな。妃立が昔付き合っていた、ミドルブロッカーの“ひたちいとは”

「(まだ接点があったのか……)」

完全には無理だけど、少しくらいの牽制は許されるよな。

だって俺一応彼氏だし。

寝ている妃立の首元にそっと舌を這わせ、鎖骨の下にちゅっと吸い付いて、「ごめん」と囁いた。

「……好きだよ」

そっと落とした言葉は、彼女の寝息の中に溶けては消えた。

第八話 きみのせい 終
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