レンアイゴッコ(仮)
一人暮らしの彼の家に並んだ紺色のハイヒール。玄関まで筒抜けの甘ったるい声。
一瞬頭が真っ白になった。なんで?どうして?身体中の熱がさっと引いた手足は冷たくて、代わりに耳や頭に熱が集う。
音を立てないように寝室に向かうと、思った通り、彼と見知らぬ女性が一糸まとわぬ姿で繋がっていた。
「(……キモチワル)」
目の前の光景に催す吐き気。
「もうやばい、やばいッ……!」
「あー……、俺もイク……」
しかし、二人とも私がここに居ることなど見えていないらしい。真っ白だった思考回路に、ぽつぽつと赤い火花が散って、感情がシフトするのは造作なかった。
「ねえ」
怒りのままに声を出すと女は「きゃあっ!?」と、変な声を出してずるんと彼から身体を離し、今更身体を隠すように毛布を被った。
馬鹿みたいに繋がっていた結果、一メートルもない距離になってようやく私に気付いたらしい。笑える。
「え、なんで……」
彼はぎょっとして私を見上げた。蒼白する様が滑稽だ。
「連絡はさっきしたんだけど、見る暇、なかったみたいだね」
感情に反して笑顔を浮かべられる私もまたおかしい。