レンアイゴッコ(仮)

「でも実際問題、うち、社内恋愛って大丈夫なんすか?」

そんな私たちの空気に鈴木が水を差す。しかし案外問題ないのだ。

「全然大丈夫。社長の奥さん、事務にいるし」

「結構社内カップルいますよね」

「いるのよね、これが。同種で付き合ってる人も多い」

「コンペで一緒になったり、同じ作業をすることが多いですもんね」

事実、職場では付き合っていることを内緒にしたかったのも、弄られるのが嫌だという理由であって、飛ばされるリスクは毛頭ない。仕事効率が悪くなれば飛ばされるかもしれないけれど、私たちはちゃんと仕事をしている。

恵まれた職場なのかもしれない。だって、納品さえすれば午前休を取ってもいいし、有給使用率も高いし、社風も基本自由だ。

「とにかく、元彼と会ったことは、東雲には言わない方が良いわよ」

「ですね。内緒、しておきます」

口の前に両手の指でばってんを作り秘密を約束する。
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