レンアイゴッコ(仮)
𓂃𓈒 ❅ *
「柑花、バッグ落ちそう」
「へ?あ、ほんとだ……!」
その日は東雲が私の家に来る予定の日だったので、昨日のうちにハンバーグの種や献立の準備を仕込んでいた。おかげで東雲は「好きな食べ物ランキング更新された」とか、すごく嬉しいことを言ってくれた。
味の感想を貰えると、それだけで作った甲斐が有る。
私が作れば、無表情でも必ず感想を伝えてくれる。食べている時はスマホは見ない。鳴っても放置。それから皿洗いは自分の使命だと思ってるらしい。
気が緩んでいれば、ソファーに置いていたバッグが落ちそうになって。東雲が支えてくれたは良いけれど、ファスナータイプではなくボタンタイプのバッグで、僅かに開いた隙間から物が落ちてしまった。
「……これ」
「!」
その中に、昼間もらったあの名刺が潜んでいた。名刺入れに仕舞うのもなんだか癪で、裸のままでバッグに入れていたのだ。東雲がそれを拾い上げると、まじまじと見た。
「会ったの?」
その目は確信に満ちている。
『東雲がヤキモチ妬くわよ?』
昼間聞いた先輩の言葉が思考回路で再生された。こんなにすぐ破ることになるなんて、誰が思うだろう。
「柑花、バッグ落ちそう」
「へ?あ、ほんとだ……!」
その日は東雲が私の家に来る予定の日だったので、昨日のうちにハンバーグの種や献立の準備を仕込んでいた。おかげで東雲は「好きな食べ物ランキング更新された」とか、すごく嬉しいことを言ってくれた。
味の感想を貰えると、それだけで作った甲斐が有る。
私が作れば、無表情でも必ず感想を伝えてくれる。食べている時はスマホは見ない。鳴っても放置。それから皿洗いは自分の使命だと思ってるらしい。
気が緩んでいれば、ソファーに置いていたバッグが落ちそうになって。東雲が支えてくれたは良いけれど、ファスナータイプではなくボタンタイプのバッグで、僅かに開いた隙間から物が落ちてしまった。
「……これ」
「!」
その中に、昼間もらったあの名刺が潜んでいた。名刺入れに仕舞うのもなんだか癪で、裸のままでバッグに入れていたのだ。東雲がそれを拾い上げると、まじまじと見た。
「会ったの?」
その目は確信に満ちている。
『東雲がヤキモチ妬くわよ?』
昼間聞いた先輩の言葉が思考回路で再生された。こんなにすぐ破ることになるなんて、誰が思うだろう。