レンアイゴッコ(仮)
「(相変わらずって、どう、あいかわらずなんだ)」
面倒見がいいってことならば頷ける。
私の飲みすぎをストップするのも、大体は東雲の一言だ。
今回は半年、足は遠のいたけれど、その間、東雲は彼女とこの店に足を運んでいたのかな……。
今まで、特に気にしなかったこと。東雲との関係に、別の名前が付いたことによって、何となく気になること。
「(ていうか、東雲は全然いつもと変わらないんだけどさ)」
わたしばかり気にしているようで、何だか腑に落ちない。
「はい、これ、いつもの焼き小龍包〜」
「わ、うれしい!」
すると、目の前に焼き小籠包が出された。このお店' 金のわらじ 'は焼き鳥店を謳いつつ、焼き小龍包が絶品で毎回頼んでいる。
レンゲに小籠包とポン酢を落とし、口に運ぶ。
「ん〜……!ん!美味しい!」
噛む度に口の中でモチモチの皮が弾み、庵の中に閉じ込められた肉汁が溢れる。甘酸っぱい梅酒ソーダで流し込む。至福である。
「……いつも思うけど」
「ん?」
「なんでも美味そうに食べるよね」
「そりゃ、毎日仕事終わりのビールの為に働いてますから!」
「威張ることかよ」
東雲は鼻で笑って、ビールジョッキを煽った。華奢な首周りなのに男らしく浮き出た首筋と尖った喉仏が視覚的に良くない。