レンアイゴッコ(仮)
体感30分。しっかりと二時間楽しく飲んだ。仕事中、東雲は機嫌が悪い気がしたけれど、そうでも無かったらしい。

お会計はしっかり割り勘、と言いたいところだけど、東雲が勝手に済ませてしまった。

「帰りにコンビニでアイス奢って」

そう言い負かされたので、その通りにする。いつも通りと思ったけれど、やっぱり、ほんの少しだけ違う、そんな気がした。

いい感じにアルコールに酔わされ、楽しくなって、ふわふわと浮き足立つ帰り道。



「ところで、その後元彼と元サヤに戻ったりした?」



なんの脈絡もなく、東雲は元彼のことを聞いてくるからビックリして酔いも冷めた。

「は?なんで?」

「服違うけど、家に帰って着替えたんじゃないの?」

「ちがう、実家に帰って着替えただけ。元彼からは電話がたまに来るけど、それだけ。LINEとか全部ブロックしたけど、鍵は返して欲しいから一個くらい連絡手段残そうかと」

詳らかに説明すると、「成程」と、東雲は不機嫌を取り除かれたように目を瞬きさせ、無機質な納得をし、それから立ち止まると視線を送り付けてくる。
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