レンアイゴッコ(仮)
「東雲さんと妃立さんなら、1泊出張でホテルが同部屋でも何も起きないから平気だって坂下さんが言ってましたけど本当ですか?」

どんな認識をされているのか、甚だ疑問だ。……概ね正解だけれども。

「本当。ありえないかな」

「うわ〜……男女が同じ部屋で寝て何も無いって、お互い性欲が枯渇してるか、忍耐力がダイヤモンド並の硬さじゃないと無理じゃないですか」

「あのねえ、私たちは仕事してるの。同僚に性欲剥き出しにしてどうすんのよ。そんな事考える暇があったら、ちゃんと仕事しなさいよ」

言い終わって、しまった!と、口を抑えた。今の、パワハラにならないかしら。

弊社はホワイトを目指して、有給消化、定時退社率を上げ、離職率を抑えるように日々励んでいる。しかしながら制作3課は既に2名の新卒が辞めて社長に目をつけられているらしく、最後の一人、鈴木が頼みの綱なのだ。


「下世話はその辺にして。鈴木、ご飯食べたの?」


教育係の私は、部長と世良さんから『鈴木は辞めさせるな』と、つよ〜い圧を掛けられている。こっちがパワハラだ。

「食べてないっす!」

「ピザ買ったんだけど、半分食べない?量的に多いんだよね」

「いいんですか?いただきます!」


鈴木が座るので、ほっと胸を撫で下ろす。
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