レンアイゴッコ(仮)
「……何食ってんの」

二人でテーブルを囲んでいると、突然、背後から無機質な声が、責めるように訊ねた。

「うわっ、ビックリしたー……」

東雲はいつ見ても顔がいい。そんな好みの顔が予期せず背後に現れ、驚くのは必然。東雲は午前中も打ち合わせで離席していたから、顔を合わせるのは全体朝礼ぶりだ。


「妃立さんが分けてくれるっていうので、一緒に食べてました！」

「へえ……」

「東雲さん、午後から妃立さんと、整骨院に打ち合わせらしいです」

「聞いた。休憩終わったら社用車の鍵申請して」

「了解です！」


東雲は鈴木の説明に頷いて、もう一つ空いていた席に腰を落とした。他にも沢山席は空いてるのに、何故ここに座る。


「で、何食ってんの」

見て、分からないのか。

「ピザ。ビスマルク。東雲も食べる？」

「食べない」

じゃあ何故聞いた。

「東雲さん、ブラックコーヒーですよね！いれて来ます！」

「サンキュ」

鈴木は鈴木で、我閃いた！と言わんばかりの表情でコーヒーを作りに行った。後輩に気を遣わせてしまったらしい。
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