レンアイゴッコ(仮)
「お待たせしました〜!東雲さん、どうぞ!」

「ありがとう」

鈴木がテーブルに戻ってきても、東雲は私の髪の毛で遊ぶことをやめなかった。

「下請け、部長に頼まれていた外注先に頼みましたけど、あの会社大丈夫でした?」

「あー……あの会社、部長が昔の会社にいた頃からの付き合いらしいけど、慈善事業みたいな金額で仕事してるからな」

「うわー、昔の好ってやつですか?俺無理」

あの、お兄さん。普通にはなしている場合じゃないですよ?

鈴木の場所からは上手く隠れているのだろう、気づいている様子はない。

顔をひきつりながら身を捩る。

「妃立さん、食べないんですか」

「え……っ」

鈴木から指摘されて目が泳ぐのは当たり前で、オマケに声が上擦ってしまい、そんな私が面白いのか、東雲は肩を揺らす。


──……遊ばれている。


東雲の靴をつま先で思い切り踏んづけると、東雲のうつくしい顔が僅かに歪む。
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